謎の狛犬
大麻比古神社には不思議な狛犬がいる
本殿境内の手前に控えている狛犬がそれだ。
一見何の変哲もない狛犬だが、左の狛犬、つまり「阿吽(あうん)」の「吽(うん)」の狛犬、口を閉じているほうの狛犬に不思議がある。
ちなみに、ご存知の方も多いが、狛犬は片方が口をあけていて「阿(あ)」、もう一方が口を閉じ「吽(うん)」といっている。
すべての始まりである「阿」とおしまいである「吽」を合わせて、宇宙を現しているといわれている。
さて、そのおしまいの方の狛犬の右前足に、奇妙な人物の彫り物がある。
そのアップが下の写真だ。
人物を右側から描いたものだが、この人、何かたくさんの煙のようなものを口から吐いているようだ。
インドのチラムと呼ばれているパイプを咥えているようにも見える。
大麻に感心のある人は、ここを訪れると、皆、この彫り物を見学するようだ。
では、いったいこれは何なのか?
神社の方に聞いてみると、この人物についての文献は残ってないという。
では、寄進されたのはいつごろかと聞くと、慶応時代だとのこと。
なるほど‥
幕末から明治にかけての激動のころ、多くの外国人や文明が海を越えて続々と押し寄せてきた時代に、
この狛犬が寄進されたのである。
狛犬や鳥居や灯篭などを寄進する際、その形状や大きさについては、基本的に寄進する人が自由にデザインする。
その自由度は思いのほか幅広いと聞く。
であるならば、昔からの大麻の里に訪れた大陸や南方の人やその文化に触れた人が、
大麻の神秘性を訴えるために、この狛犬を寄進したのかもしれない。
夢は広がるばかりだが、未だに謎だ。